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André Chang , Ph.D.

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台湾人の宿命……台湾人の責任

2008-01-31

 本稿の構想は実は3年ほど前に既に出来上がっていたものなのだが、日本人の
私が書くべきではなく、本来であれば台湾人自身が気づいて欲しいことなのでこ
れまで発表してこなかった。しかし、総統選挙が8ヶ月程後に予定されているいま、
台湾人自身が気づいてくれないもどかしさから投稿することにした。
 
 昭和20年に台湾が中華民国の軍隊に接収され、台湾人は戦後処理の行政上の必要
から強制的に中華民国国籍にさせられた。続くサンフランシスコ平和条約において、
日本は台湾の帰属先を定めぬまま台湾を放棄した。日華平和条約においても台湾の
帰属は明らかにされていない。ここまでは、このメルマガの読者にとっては常識の
範囲である。

 問題は、国籍である。台湾の帰属が未定である以上、そこに暮らす台湾人の国籍も
未定ということになってしまう。このことに気がついた中華民国政府は、日華平和条
約の第10条に国籍条項を入れたのである。すなわち、「この条約の適用上、中華民国の国民には、台湾及び澎湖諸島のすべての住民及び以前そこに住民であった者並びにそれらの子孫で、台湾及び澎湖諸島において中華民国が現に施行し、又は今後施行する法令によって中国の国籍を有するものとみなす(以下省略)。」という条文である。

 ここで注目して欲しいのが最後の文言「みなす」である。この表現は、「台湾及び
澎湖諸島は日本でも中国でもないのだから、そこに暮らす住民の国籍は本当はわから
ないので、中国籍にします(合理的に他の国籍であることが証明できたり、判明する
のなら、その国籍にするのが適切でしょう)。」という意味である。この条約によっ
て一応国際的に認知される形で、台湾人の国籍は(当人の意思には関係なく)中国と
させられたわけである。

 したがって、台湾人はその全体が無国籍の国際的難民状態であることになる。これ
が台湾人が背負わされた宿命である。

 しかし、1972年当時は国民党政権下で、台湾人が台湾を名乗ることは死を意味する
時代であった。事実、独立運動に関わっていた人々はブラックリストに名前が載せら
れ、当局に逮捕されれば卑劣凄惨な拷問や、遺体も無いようなかたちでの抹殺が待っ
ている恐怖政治状態が続いた。

 だが、李登輝総統の時代になってブラックリストはなくされ、民主的手続による総
統直接選挙も1996年から実施され、台湾には偽りの無い民主政権が誕生したのである。何を言っても罰せられることのない社会になって、もう10年以上が経過しているのである。

 繰り返す。台湾という国際的空白地域をどうするのかは、台湾人が決めることが
できるようになってからもう10年以上が経過したのである。「台湾のことは、台湾
人が決める。」のはもはや台湾人の権利ではない。「台湾のことは、未来永劫にわ
たって台湾人が決める」ようにしなければならないのは、台湾人の責任である。

 目先の経済的理由で中国と一緒になり、台湾人を消滅させてよいものか。今の大人
が子供たちの台湾人としての将来を奪ってよいものかどうか考えるべきときである。

 何度言っても言い過ぎではあるまい。台湾人が自らの足で立ち、自らの国を作り
あげ、国際的空白地域を台湾共和国という台湾人の国で埋めるのは、今の台湾人の
責任である。台湾人のこの責任の自覚に対して、外国人の我々も、微力ながら応援
しようと思うのだ。